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松尾芭蕉が松島を訪れた時の「奥の細道」の文を見ると、その素晴らしさが良く分かります。左の写真は、奥州・平泉の中尊寺に置かれている、ブロンズ像は出でたちの服装や、何か芭蕉の人柄が分かるような秀作です。 |
松 島 (宮城県) そもそも、ことふりにたれど、松島は扶桑(ふそう)第一の好風にして、およそ洞庭(どうてい)・西湖を恥じず。江の中(うち)三里、浙江(せっこう)の潮を湛ふ(たたふ)。島々の数を尽くして、そばだつものは天を指さし、伏すものははらばふ。あるは二重に重なり、三重に畳みて、左に分かれ右に連なる.負へるあり、抱けりあり。児孫愛すが如し。松の緑こまやかに、枝葉(しよう)潮風に吹きたわめて、屈曲おのずからためたるがごとし。その気色(けしょく)えう然として、美人の顔(かんばせ)を粧ふ。ちはやぶる神の昔、大山祇(おおやまつみ)のなせるわざにや。造化の天工、いずれの人か筆をふるひ、詞(ことば)を尽くさむ。 |
五大堂から見た風景 |
「十一日、瑞巖寺に詣(まうず)・雲居禅師(う んごぜんじ)の徳化(とくげ)に依りて、七堂甍改まりて、 金壁荘厳光を輝かし、仏土成就の大伽藍とはなれりける。」 松尾芭蕉「奥の細道」 松島と瑞巖寺は対句といった方が良いものです.平安期に天長5年(828年)慈覚大師円仁によって、天台宗寺院として、開祖された古刹です。その後、臨済宗に変わり、江戸期に、62万石の殿様「伊達正宗公」が現在の大伽藍を完成したそうです。数々の美術品がのこされています。伊達家歴代の殿様の位牌がありました。 |
● 岩手県西磐井郡平泉町、850年「慈覚大師」開創する。 ● 清和天皇(石清水八幡成立の時の天皇)より「中尊寺」の号を賜る。 ● この地にに入った、奥州藤原清衡は天皇の勅命を受け、塔・伽藍を建 設する。この中に「金色堂」があった。 ● 金色堂には、基衡、清衡、秀衡のミイラ、泰衡の首級のミイラが納めら れている。総て金箔がはられている。 ● 3代「秀衡」の死後500年経った、江戸時代に松尾芭蕉が訪れた。そ の荒れた様子を見て、嘆いた。 |
松尾芭蕉 さても、義臣すぐって此城にこもり、功名一時の叢(くさむら)となる。「国破れて山河あり。城春にして、草青みたり。」と笠打敷きて、時のうつるまで、泪を落しはべる |
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藤原3代「清衡」「基衡」「秀衡」の栄華 前九年の役で、清原氏は、源頼義・義家と組んで、国司に背く、奥州の大豪族・阿倍一族を倒します。しかし、清原氏は、その後の一族どうしの内紛で、(後三年の役)源義家と組んだ清原清衡が勝利をおさめます。朝廷は義家の意に反し、彼に清原姓を継ぐことを許可します。そして、奥羽の頂点に立った清衡はその後に藤原(父方の姓)と改姓します。話は複雑ですが、こんな関係になっているのです。 清衡の母は清原氏に滅ぼされた阿倍貞任の妹で、前九年の役で夫(藤原姓)を亡くします。彼女は息子の「清衡」を連れて、敵方の清原武則の子「武貞」と再婚します。阿倍氏の血筋の流れを持つ清原清衡が「後三年の役」では、ただ一人生き残ったのです。そのため、旧阿倍一族の領土と清原氏の領土を引き継いだラッキーボーイでした。清衡・基衡・秀衡と三代にわたり、栄華をきわめ、四代の泰衡時代には鎌倉幕府により滅ぼされます。 |
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平泉「衣川」は古戦場跡です。1189年、藤原氏を頼って平泉に滞在していた義経と弁慶及び数少ない家来の住む「高館」(たかだち)が藤原泰衡(第四代)に襲われます。父の遺言に背いての戦いでした。弁慶、これが最期と義経に別れを告げ、敵陣目掛けて、大薙刀を振りかざし奮戦しました。全身に矢を受けて、立ったまま死んだと伝えられています。義経もこの地で自害されたと伝えられています。泰衡がその後どうなったか・・・・.金色堂には「首のミイラ」だけが納められています。 |
夏草や 兵どもが 夢の跡 芭蕉 この平泉を松尾芭蕉とその弟子が訪れたのは1689年のことでした。夏草生い茂る、高館(たかだち)に立って、500年前の合戦を思いながら、義経と弁慶の最期を悼み、栄華をきわめた藤原3代の滅亡に涙したとつたえられています。右の句碑は毛越寺(もうつうじ)の境内にあるものです。高館は北上川のそばにあり義経が住んでいた館のあった場所です。 |
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毛越寺は、中尊寺と同じく、850年頃、慈覚大師円仁(えんにん)が開祖、異腹の兄弟の覇権争いで10年間、戦いを続け勝ち抜いた藤原2代の基衡が総力をあげて建立していきました。 「吾妻鏡」には毛越寺は『霊場の荘厳は吾朝無双』とかかれているそうです。しかし、1226年、火災で焼け荒れ放題になっていました。しかし、平安期の貴族の造った寝殿造りの形式をとり入れた壮大な「池」はそのまま残り、往時を偲ばせることが出来ます。 下の写真のイラスト案内図に当時の伽藍配置と壮大さに驚かされます。国の「特別史蹟」「特別名勝」の指定を受けています。 |